壷田 和紘さん
亜矢さん
出身地 三重県(和弘さん)愛知県(亜矢さん)
移住年 2009年4月
職業 製陶業
家族構成 息子2人、娘1人
移住のきっかけは?
学生の頃、愛知県で陶芸を学び、陶芸の学校で知り合った亜矢さんと結婚しました。独立して2人で陶芸をしていましたが、当時住んでいた場所が愛知万博の会場となり立ち退かなくてはならなくなりました。次に、三重県に移って9年ぐらい陶芸をしていましたが、そこが産廃処理指定区域になり、またまた立ち退かなくてはならなくなりました。陶芸家の引っ越しって大変なんですよ。窯も壊して一(いち)から据えなきゃですし、煙が出るので、どこでもというわけにはいかない。年齢も年齢ですし、もう、引っ越しをしなくてもよさそうな場所で、広い土地があり、子どもがいるのであまりにも人里離れすぎていないとこに住みたいと考えました。あと、焼き物文化って西から流れてきたので、西に対する憧れみたいなものがあって、西に住もうって思いました。場所探しは不動産屋にお願いしてて、「いい場所見つかったよ。」って紹介されたのがここ(高千穂)でした。
移住してよかったことは?
何もかもが面白くてすべてよかった。
あと、焼き物を作る目的が変わってきたこと。
愛知や三重にいた頃は、焼き物が有名な場所だったので焼き物好きな人も多く、展覧会に出展してお客さんに買ってもらって、また次の展覧会に出展して~の繰り返しで、「次の作品何にしよう??」っていつもいつも考えてて、それはそれは忙しかったし、マニアックな部分で満足していたのがこっちきてニュートラルになれた。
こっちでは、「コップまがっとる。」とか言われるし、値段聞いたらさーって引いてかれるし...
さっきも郵便屋さんに、入口に並べてたコップ「これから絵付けですか?」って言われた(笑)
なんか、頭でっかちになってた自分が素に戻れて、そういう意味でも移住してよかった。
作品はどれぐらいの頻度で作りますか?
今は他のことが忙しくてなかなか焼き物に集中できてないけど、
月1回は釜で焼くよ。1回で、鍋みたいな大きいものだったら数十個、
コップだけだったら300個ぐらい焼けるよ。
どこで購入できますか?
鬼八の蔵(がまだせ市場)とまちなか案内所に少し置かせてもらってます。
インターネット販売は実際手に取って見れないから今のところ考えてなくて、直接工房に来てもらってもいいし、こんなの欲しいって注文もらえれば作ることも可能です。
高千穂の土で陶芸はできますか?
高千穂は阿蘇山の火山灰土だから陶芸に向いてなくて、でもずっと探してたら、熱水作用でできた土が使えそうでちょうど試作品を作ったとこ。まだかけやすかったりするから商品にはできないけど、これから改良を加えて、完成したら正真正銘高千穂産。(写真下)
移住して意外だったこと
寒い。九州だから暖かいと思ってて、2月に初めてここを見に来たとき霜柱が20センチぐらいになってたから、「うそやろー」って思ったけど、本当に寒かった。
山仕事や牛の世話、暮らしが農業中心にまわってることも意外というか新鮮でした。
あと、みんなで子どもをみてくれるので子育ては楽ですね。人の子を親の前でも叱りますもんね。
焼酎は木挽き、ビールはアサヒスーパードライ。
廃品回収したとき、木挽きの瓶とアサヒスーパードライの缶がずらーって並んでて、「なんで木挽きとアサヒスーパードライなんですか?」って聞いたらみんな「なんでやろ」って言ってた(笑)(五ヶ所地区)
移住者へのメッセージ
ぜひ来てください。人がいいから人に対しては何も心配しないで来てください。
明るい田舎です。
まだ移住者あまりいないから、穴場スポットですよ。
写真:赤木智子さんの書籍でも紹介された作品たち
写真:お洒落カフェのような室内(ご自宅)
高千穂最北(五ヶ所地区)にお住まいの壷田さん。少しだけ民家から外れた山奥にぽつんと建っているトレーラーハウスが工房兼ご自宅でした。
写真はてんぷら油で走る天ぷらカーの仕組みを説明してくださってるところ。故障もなく快適に走るそうです。排気ガスもほのかに天ぷらの匂い!?
何もかも手作りで、実際は大変なこともたくさんだと思いますが、ご夫婦で素敵な暮らしを営んでいらっしゃいました。
(文責:田阪えり子)